この暑さと物価高のせいか、ご近所のお店の方々と顔を合わす度に『どぉ?』『全然ダメ.....。』という不景気な話ばかりが飛び交う。隣で20年以上も古本屋を営むご主人も、『開業以来最悪!』と溜息ばかり。こっちは開店してようやく半年で、『商売なんて最初の3年は我慢、我慢。』と思っていたので痛手も少なく、これが「底」ならまだラッキー!でも「底」じゃない、となると.......ウゥ......。
ここで嘆いてもしょうがないので、何か楽しいことないかな~、と思っていたら、携帯のベルが鳴った。
『今、どこっすか?』
『鎌倉』
『かっ、鎌倉ぁ~???』
鎌倉に来る前の職場で、仕事絡みで知り合った坊やが、聞きたいことがあって軽~い気持ちで電話をしたら鎌倉に繋がった、という訳だ。
『何やってんすか?』
『店長』
『てっ、店長ぉ~???』
そっか、コイツは何も知らないんだ、面倒くさいなぁ~、と少々思いながらも事の成り行きを説明すると、
『相変わらずっすね~!』
『アンタもね!』
この坊や、不幸な事故で片足を失った後も、前向き....かどうかはわからないが、元気にたくましく生きている。チョット素行は悪いが、昼も夜もバイトしてなんとか頑張っている姿は、仕事で接していた当時から評価していた。そんなヤツからの電話に、しばし不景気な世の中を忘れた。
『しっかり稼いで、昔のお礼にうちの店の商品買い占めなさいよ!!』
『お~、なんとか頑張りまっす!』
人生なんとかなる、というのは私の持論だが、コイツにも当時からこの持論を押し付けていた。
でも、実際なんとかなってるでしょ?!
今日はなんだかコイツからパワーを貰ったようで、悔しい。......でも、たまには、いっか。
『じゃ、またね~!』
『うぃっす!』