Jul 12, 2011

祭りのあと


大人になって当たり前のようにこなしていることは、かつてそれらを経験したり学習したりしたからなのだということを、4歳のチビや謎のモンゴル人(夫)を見ていて度々気づかされる。知らないことは分からない。想像はできるが、大抵は間違っていたりする。そこで教えられて初めて知り、再び挑戦し、経験を積んで、自分の糧となっていくのだ。そんな当たり前のことを、いい歳の大人になってしまったせいか、度々忘れてしまう。

店の近くに住む、チビの保育園の同級生に誘われて、初めて近くの神社のお祭りに出向いた。小さな小さなお祭りだったが、近隣の方々が作った手作りの屋台がちょこちょこっとあって、保育園児にはちょうどいいほのぼのとしたお祭りだった。同級生の親御さんから頂いた屋台専用チケットを使い、輪投げやくじ引き、ヨーヨー釣り、そして金魚すくいなどを楽しんだ。とりわけ金魚すくいはチビにとっては衝撃的だったようで、初めて金魚すくいポイを手にし、これでどうやって動く魚を捕らえればよいのか、激しく戸惑っていた。結果は思ったとおり、ポイを水の中にジャボジャボ入れて金魚を追っかけ回し、あっという間に紙はビリビリに破れ、ただの輪っかになっていた。それでもオマケにもらった金魚1匹がとても嬉しかったようで、ビニル袋越しにツンツン突いてはニコニコしていた。

まだまだ知らないことが山ほどあって、出会う度に驚き、戸惑い、そして喜び、本人の糧になっていくのだろう。かつて私を散々旅へと駆り立てたものも、未知の世界への憧憬に他ならず、今も時折その衝動に駆られるが、チビの笑顔でしばらくは我慢できる。そう言えば、謎のモンゴル人(夫)が日本に来て一番エキサイトしたものは、トイレのウォシュレットだった。ちょっとしたホテルやデパートに備え付けてある便座の横のスイッチを、どうすれば良いのか個室の中で誰にも聞くことが出来ず、しばらくの間悩んでいたそうだ。これも間違いなく、未知との遭遇だろう。

100円ショップでちょうどいい大きさの金魚鉢を見つけ、オマケの金魚を移し替えた。パンを小さく千切って入れるようチビに教えると、小さい手で一生懸命丸めて金魚にあげ、『ほらっ!食べろ!何やってんだよ!』とけしかけていた。

こんな夏の夕暮れも、悪くない。

posted by 天珠/曼荼羅/仏画(タンカ)の通販・販売 チベット専門店【蒙根】