Aug 28, 2010

この夏の想い出


人生と言うものは、過ちや失敗の繰り返しで、それを償う時間が無いまま時が経ち、後悔だけが残ってしまう。そんな中で、一番気にかけていたことの当事者から『大丈夫だよ!』と言ってもらえると、これほど嬉しいことはなく、今日はそんな素敵な一日を過ごした。嬉しくて泣き出してしまいそうだったが、一度崩れると立ち直れなくなりそうだったので、そこはビシッと決めておいた。

この夏の、いや、ここ18年あまりの間で、一番いい日だったかもしれない。
一生懸命生きていれば、必ずいい事があると思えるような、ハッピーな一日だった。

暑苦しい真夏の夜、でも心は涼やかな気分だ。
ありがとう。

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Aug 15, 2010

娘、帰る


お盆も最終日を迎え、鎌倉も人出がだんだん少なくなってきた。静かになった裏通りで、一番うるさいチビと夫が出掛けたため、草原音楽を聴きながら少しボンヤリしていたら、ここが鎌倉か大陸のど真ん中かわからなくなってきた。まぁ、確実に鎌倉ではあるのだが、気持ちの上では常に砂漠のオアシスでハミウリをむさぼる少年のように、自由気ままでいたいと思う。

知り合いの店に顔を出しに行ったら、『田舎に帰らないの?』と言われた。田舎、つまり故郷名古屋だ。母は亡くなったが、父は再婚したものの健在だ。普段音信不通とはいえ、チビを連れて帰れば歓待してくれるのは間違いない。しかし、店を閉めて、高い交通費を払ってまで帰る気にはなれない。そんなことをしていたから母の死に目にも会えなかったわけで、親不孝極まり無い娘なのだが、性分だから仕方が無い。

小さい頃から独立心が強く、高校を卒業してから大学で親元を離れて以来、ず~っとこんな調子だ。自分で誰にも相談せずに物事を決めて行く性質で、安定したお役所仕事をパッタリと辞めて開業を決め、外国人の夫に店の保証人はできないと不動産屋に言われたため、やむなく父に保証人になってくれるよう連絡し、そこで初めて結婚と退職と開業の報告をした。当然父は呆れていたが、それでもこれまで親に迷惑もおねだりもしてこなかったため、信頼は厚く、すぐに判を押してくれた。この辺はやっぱり親なんだなぁ、とありがたく思った。

ここまで大きくなったのは、自分一人の力ではない。今、子育てと仕事に追われている自分を見れば、いかに大変だったかはわかる。そんな愛すべきわが子が将来音信不通になってしまったら、きっと寂しく思うんだろうなぁ、とも推察できる。まぁ私の場合、ここぞとばかりに大陸へ繰り出して、こっちから音信不通になってしまうかもしれないが....... 。

後で後悔しないよう、いつか顔を出さなければと、孫を溺愛しながらお墓参りに行くおじいちゃんを眺めていて、チョット思った。

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Aug 2, 2010

ハミウリと少年と私


近くの高級中華料理店で、夏のお勧めフルーツとして「ハミウリ」が売り出されていた。「ハミウリ」は大好きなフルーツの一つだが、美味しそうだと思う前に「ハミウリ」と聞くと、なぜか郷愁を感じる。その理由は、ず~っと以前に読んだ椎名誠の本の一説で、米蘭という砂漠の中のオアシスの村で、少年が顔の幅以上にある「ハミウリ」を頬張りながら、のんびりと家に帰る情景が書かれていた。自分の故郷ではないので郷愁というのもおかしいが、タクラマカン砂漠だの桜蘭だのロプノールだの、いつか行ってみたい所の名前が目白押しの彼の著書の中で、少年があつい風の中を「ハミウリ」を食べながら帰る姿がなんだかとっても愛おしくて、この一説がずっと印象に残っている。

以前勤めていた職場の仕事で、あるセレモニーへの出席があった。行っても行かなくてもいいような仕事だったが、なんとその中の記念講演に椎名誠の名前があった。そのためすぐに同じ係員に根回しをし、係長に出席する重要性を訴え、ちゃっかりと参加した。彼の大ファンではなかったが、私の好きな場所ばかり旅をしていて、しかも感性が似ていたため、彼の旅絡みの本は読破しいつも共感していた。講演会でもきっと楽しい旅の話が聞けると期待して、自由席で皆がほとんど後ろの方の席を陣取る中、前から2番目の真ん中の席にどっかりと腰を下ろし、仕事のことはきれいさっぱり忘れて、ワクワクしながら彼の話に耳を傾けていた。結果は、期待通りの魅力的な旅のエピソードで、帰りの自家用ジープでタクラマカン砂漠まで飛んで行けそうな気分に駆られたのを覚えている。

旅は旅、広大な砂漠や草原に思いを馳せるのは、エアコンの効いた街中の一室でゆったりとしているからであって、そこで暮らす人々にとっては過酷な生活の何ものでもない。でも、エアコンの効いた冷えた部屋で食べる「ハミウリ」よりも、暑くて汗だくになりながら、水分と糖分を身体から欲して食べた「ハミウリ」の味の方が、きっと格別なものであるに違いない。

都会人の空想とわかっていても、高級中華料理店でフォークで食べるわずかな「ハミウリ」よりも、やっぱりあつい風に吹かれながらがっついて食べたいと思う妄想旅人の私である。

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