冷たい雨の中、うるさいチビと夫をマックのクーポン券で追い出し、ようやく静かになった店内で一仕事を終えた。不景気とこの天気で毎日うんざりだが、それでも来てくれる常連さんはまるで天使のようで、昨日は拝みたい衝動に駆られた。とにかく前へ進んでいれば、道は開けると信じている。
未知の鎌倉で、常連さんから友人のような関係に発展していった人達がいて、なぜだか皆揃いもそろって今海外旅行中だ。カナダ帰りのガールズトークフレンドは、アメリカに住む彼氏に会いがてらカナダへ1ヶ月の旅路、近所に住む新婚さんは、1年越しのハネムーンで2週間ほどインド・ネパールへ、その他カナダへスキーに行く人やらと、なんだか周りは忙しい。以前はいつも送られる立場で帰りを待つことなどほとんど無かった私だが、今は彼らの顔を見るのと土産話が待ち遠しい。
少し前の缶コーヒーのCMで、未開の国の人達がこっちが日本人だと分かると、『メガネ掛けた、ほら背がこれくらいの、鈴木さん、知らないの??』と言ってがっかりする作品があった。海外に行くと、これと同じような場面に遭遇することがある。最近ではネパールである店を訪ねた時、名刺を見せられて『知ってるでしょう?』と断定的に言われたり、別の店でも『△△さん、うちで買ったよ。えっ?その人知らないの??』と驚かれたり、CMの台詞じゃないが、「日本は皆が思うほど狭くない。」しかし、今回あの新婚さん達がネパールの繁華街で何件か店に入れば、そのうちの数件で『あ~、お母さんが赤ん坊をいつも紐で抱っこしていて、ダンナがモンゴル人の人でしょう?』と話が続くだろう。そう思うと、やっぱり日本は狭いかもしれない。
半年以上前に店を訪ねてくれたお客さんで、直後に『ブログにお店のこと書いてもいいですか?』とわざわざ連絡をして下さり、その際にうっかりブログのURLを聞き忘れ、これじゃあせっかく書いてもらってもブログを発見するのはムリかなぁ?と思っていたら、先日偶然発見し彼女とも再び連絡が取れ、なんだか旧知の友に再会できたようで嬉しかった。ネットの力もさることながら、人間思いを寄せているとどこかで必ず繋がっていくものだ。
「縁は異なもの味なもの」と言うが、男女間に限らず、人と人との縁や繋がりはおもしろい。開業して以来、益々その面白さを体感している。次にこの店の暖簾をくぐる人は、もしかして運命の人かもしれない。(注釈:夫は一応いますので、別の意味でね!)そう思うと、『いらっしゃいませ~♪』の掛け声に気合が入るなぁ~!