Feb 27, 2009

再見

冷たい雨の中、うるさいチビと夫をマックのクーポン券で追い出し、ようやく静かになった店内で一仕事を終えた。不景気とこの天気で毎日うんざりだが、それでも来てくれる常連さんはまるで天使のようで、昨日は拝みたい衝動に駆られた。とにかく前へ進んでいれば、道は開けると信じている。

未知の鎌倉で、常連さんから友人のような関係に発展していった人達がいて、なぜだか皆揃いもそろって今海外旅行中だ。カナダ帰りのガールズトークフレンドは、アメリカに住む彼氏に会いがてらカナダへ1ヶ月の旅路、近所に住む新婚さんは、1年越しのハネムーンで2週間ほどインド・ネパールへ、その他カナダへスキーに行く人やらと、なんだか周りは忙しい。以前はいつも送られる立場で帰りを待つことなどほとんど無かった私だが、今は彼らの顔を見るのと土産話が待ち遠しい。

少し前の缶コーヒーのCMで、未開の国の人達がこっちが日本人だと分かると、『メガネ掛けた、ほら背がこれくらいの、鈴木さん、知らないの??』と言ってがっかりする作品があった。海外に行くと、これと同じような場面に遭遇することがある。最近ではネパールである店を訪ねた時、名刺を見せられて『知ってるでしょう?』と断定的に言われたり、別の店でも『△△さん、うちで買ったよ。えっ?その人知らないの??』と驚かれたり、CMの台詞じゃないが、「日本は皆が思うほど狭くない。」しかし、今回あの新婚さん達がネパールの繁華街で何件か店に入れば、そのうちの数件で『あ~、お母さんが赤ん坊をいつも紐で抱っこしていて、ダンナがモンゴル人の人でしょう?』と話が続くだろう。そう思うと、やっぱり日本は狭いかもしれない。

半年以上前に店を訪ねてくれたお客さんで、直後に『ブログにお店のこと書いてもいいですか?』とわざわざ連絡をして下さり、その際にうっかりブログのURLを聞き忘れ、これじゃあせっかく書いてもらってもブログを発見するのはムリかなぁ?と思っていたら、先日偶然発見し彼女とも再び連絡が取れ、なんだか旧知の友に再会できたようで嬉しかった。ネットの力もさることながら、人間思いを寄せているとどこかで必ず繋がっていくものだ。

「縁は異なもの味なもの」と言うが、男女間に限らず、人と人との縁や繋がりはおもしろい。開業して以来、益々その面白さを体感している。次にこの店の暖簾をくぐる人は、もしかして運命の人かもしれない。(注釈:夫は一応いますので、別の意味でね!)そう思うと、『いらっしゃいませ~♪』の掛け声に気合が入るなぁ~!

Feb 23, 2009

花暦

昨日、半年振りに髪を切った。結構バッサリと、ギリギリ縛れるぐらいの長さに切った。年に1~2回位しか美容院に行かない上に普段全く手入れをしないため、毛先が痛んでボサボサになっており、行きつけの美容院のオーナーと相談しながら、気分転換も兼ねてバッサリとやってもらった。お陰で頭が随分軽くなって涼しげに..... と思っていたら、今朝のなんと冷たい雨。少し早まったかな?春はまだまだ先のようだ。

サラリーマンをしていた頃は、雨の休日は好きだった。なぜなら休日に晴れると、洗濯やら布団干しやら普段やれないことを色々したくなり、休日をエンジョイできない。しかし雨なら諦めがついて、読みたい本や勉強道具を携えてカフェに行き、ゆっくりとしたひとときを過ごせるからだ。カフェのガラス越しに見る雨のビル街や行き交う人々は、なんだか情緒的で見ていて飽きない。

商売を始めた今、雨は大敵だ。特に冷たい雨は、来て下さるお客さんがグッと減り、売り上げは激減する。しかし快晴もまたダメで、一番いいのは曇り空。程よい曇り空は、行楽地に行く気はしないが買い物ぐらいなら、という気にさせるようで、うちにとっては「恵みの雲」と言う訳だ。

鎌倉の人々は冬から春にかけて、よく『桜が咲く頃までには.....』『花の季節になったら.....』というフレーズを用いる。鎌倉に限定したことではないかもしれないが、私が今まで住んだ場所ではあまり聞いたことが無く、事ある毎にこの「花のフレーズ」を耳にし、その情緒溢れる表現に感銘した。

鎌倉出身で今は別に移り住んでいる方で、定期的に鎌倉に帰る際にうちの店に寄って下さるお客さんが、その帰り際に『では、次は桜の季節に来ますね。』と言って下さった。なんと素敵な表現だこと!私も今度、誰かに使ってみようかな?
『花の時季には、きっとこの髪も伸びてます。』
..... う~ん、なんかあんまり素敵じゃない。なんで??

Feb 19, 2009

dejavu ??

まるでオムニバス映画のような、憶えているだけでも5作品からなる夢を見た。ストーリーはどれも別々で、登場人物も場所の設定も関連が無い。一作品見ては目が覚めて、また寝ては別の作品を見て、普段忙しくて大好きな映画を見る暇がない私にとって、夢の中では現実だったが、それが夢だと分かった瞬間、映画鑑賞をしているような楽しい気分に浸った。

20歳近く年上の俳優さんが、実は病を患っていて余命いくばくもなく、なぜか私が彼の恋人で、波乱を乗り越え必死に彼に会いに行く、という設定。これは目が覚めた後、ないないない....... と夜中に一人で笑ってしまった。

チビが食欲が無くどんどん弱っていくため、心配して栄養をつけるために生卵を溶いて口から流し入れようとするが、チビの口がなぜかエイリアンのように広がって喉の奥が丸見えで、こっちもそれに対抗するため大きな桶を使って流し入れる。これは目が覚めた時、思わず隣で寝ているチビの口元を触ってしまった。

長いこと会っていない友人にも会えた。普段優しく気遣ってくれるその友人は、夢の中でも気遣ってくれて、うれしくて、なんだか温かい気持ちで目が覚めた。今頃どうしているのかな?

オムニバス映画なら最後にどこかで繋がりが出てくるのだが、最後の作品の途中で目覚ましのベルが鳴り、映画は未完に終わってしまった。夢占いの人が知ったら何と言うのだろうか?疲れ?現実逃避?何にせよ、せっかくなら今夜は大好きなあの俳優とのアクション映画がいいなぁ。
アチョーーッ!!

Feb 17, 2009

旅ごろ

春うらら~♪ と騒いでいたら、しっぺ返しのような今朝の寒さ、店で売り出し中の毛糸の帽子やマフラーを出したり入れたりと、気紛れな天気に振り回されている。前日との温度差が10度という砂漠のような気温の激しさに、家の洗濯物がメチャクチャな状態だ。チベットは一日の気温の差が激しい所。朝晩厚手のコートにセーターを着て、昼間は半袖Tシャツ1枚、なんてことがよくある。そこへきて乾燥が激しいため、日本の観光客はよく風邪を引くらしい。

以前ネパールへ仕事のために訪れた時、1歳前のチビを預ける先もなかったため仕方なく連れて行った。行く前から風邪気味の上、大人と違って衛生面やら気候の変化を心配しながら、粉ミルク3缶とレトルトの離乳食を山盛り持参し、ママコートを着て町中を歩き回った。チビは元気は元気だったのだが、水が合わなかったのか下痢と嘔吐が続いてみるみるやせ細っていったため、一応現地の病院へ行った。ネパールは大抵のところで英語が通じるので、思ったよりも色んな手続きがスムーズに流れる。タクシーの運転手さんに良い病院を教えてもらい、病院でもドクターを始め皆に親切にしてもらい、発展途上のイメージが強いネパールでのこの整った医療機関には、失礼だが少々驚かされた。


結局日本に戻って、私が作る慣れた離乳食を食べるまで下痢は治まらなかったが、大事には至らなかった。今ではすっかりたくましく、あのネパールでの少々やせた、しかし世間的に見れば標準体型の写真が懐かしい。

私も旅に出ると、いつも出発前よりも体重が落ちる。別にお腹を壊すわけでも食べ物が口に合わない訳でもなく、むしろ食べる量は普段の3倍近くになるのだが、歩く量が10倍以上になるため消費カロリーが増えるからだろう。しかも夜は疲れてグッスリ眠るという、早寝早起き、よく食べよく寝てよく動く、超健康生活を送るためだ。

そろそろ、旅に出た方がいいんじゃないかって?
ほっといて.....!!

Feb 13, 2009

TRY TRY TRY

夕べようやく、確定申告の全書類の記入が終わった。正しいかどうかは分からないが、なんとかやり終えた。後は提出時に税務署で指導してもらうとして、PC上の経理ソフトの年度を更新し、遅ればせながらようやく新年度のスタートとなった。

この1年、本当にあっという間だった。親類縁者、友人知人に商売をやっている人はおらず、やり方がわからない以前に何をしなければいけないのかが分からず、でも日本中にこれだけ店があるのだからと気楽に構え、その都度立ち止まりながらここまで来た。お陰で、今まで知らなかった世界の仕組みが随分見えてきて、視野が広がった気がする。

不況は小さなうちの店でも少なからず影響し、以前はお土産にとまとめ買いする人がたくさんいた小額の商品が、あまり売れなくなった。みんなムダ遣いを自重しているようだ。安定しているように見える大手の会社でも解雇が相次ぐなど、右も左も不景気な話ばかり。

まぁ、それでも何とか食べることが出来て、雨風しのぐ部屋もあるのだから、いいじゃないかと。上を見過ぎず、下に甘んじることなく、少しずつ上って行きましょう。

今年は何にトライしようか、じっとしていたら人生終わっちゃうからね!

Feb 10, 2009

後の祭り

昨日、以前勤めていた職場の先輩が再び店に来てくださり、そのお土産のひとつにカプチーノ味のチョコレートがあった。とってもおいしかったので、これは明日の朝、店での「おめざカフェ」のお供にしようと目論み、今朝店に来る道中にカフェラテを買い、店に到着してから急いで開店準備をし、さぁ、お待ちかね~!とウキウキして昨日チョコを置いた棚を覗いたら....... 無い。チビには手の届かない場所、そうなると犯人は一人。夕べは他に寄るところがあったため、一足先に店を出て夫が後片付けをしたので、その時家に持ち帰ったのだろう。本当にこの人とは気が合わない。夕べから楽しみにしていたのに..... 奮発して美味しいカフェラテまで買ったのに...... あ~、朝からまた喧嘩が勃発してしまいそうだ。

相手がある程度のことを理解している上で成り立つ曖昧な日本語、かつて日本語教師の手伝いをしていた私は知識としては知っているが、実生活では全く生かされない。しかも友人によると、私の話し方は早口で省略することが多いらしく、時に理解が難しくなるそうだ。そのせいか、話が弾む相手はいつも頭のキレがいい人が多い。彼らが私の足りない言葉を補って理解し、話してくれていたのだろう。言語も文化も違う夫にとって、最悪のパートナーだったかもしれない。

と、ここまで書いたら、チビと夫が店に到着した。到着するや否や黙っていられず『なんでチョコ家に持って帰ったのよ~!』と言うと、『Here!!』と言いながら、夫が棚の一番上からチョコを取り出した。ここはチビどころか、私にも手の届かない場所。何でも夕べ、椅子に乗ったチビがチョコを見つけてしまったため、更に高いところへ移したそうだ。180cmの夫は何でも高い所へ物を置き、151cmの私ともっと小さいチビは、いつも椅子を持って店内をウロチョロしている。

既にカフェオレはなくなり、悶々としている私。
『なんでいつも高いところへ物を置くのよ~!』と言ってもう一戦交えるか、止めとくか ...... モンモン。

Feb 6, 2009

キリッとね!

夢で懐かしい人が現れ、それに合わせて当時よく利用していたカフェが思い起こされた。
今でもそうだが、何か考え事をしたり、勉強をするのにカフェを利用するのが大好きで、千葉に住んでいた頃、あまり混まない、長く居ても邪魔にならないカフェのデータが、私の頭の中にたくさんあって、場所や状況に応じて活用していた。今では懸案事項が山ほどあるにもかかわらず、カフェに行く時間が無いため、頭のデータがちょっと不足している。

海外を旅していてもこのスタイルは変わらず、いつも目的の無い旅のため、朝早くに起きてその国に合ったカフェや市場や屋台で、コーヒーやお茶やお湯を飲みながら、その日のスケジュールを決める。お気に入りの場所が出来て通い詰めたりすると、店の人やお客さんと親しくなり、『どこで働いてるの?学生?』などと地元同士の会話となり、旅人だと告げると驚かれたり、適当な地名を挙げて地元民になりすましたり、他愛の無い会話を楽しむ。旅の中で最も好きな時間の1つだ。その国の本当の顔は、脚色の多い夜よりも、素顔の朝の方に表れると思っている。そして沈み行く太陽よりも、これから昇っていく方が前向きな気分になれていい。

夏休みに南半球に行き、冬休みは普通に寒いところに行くせいか、私の旅の朝は凍えていることが多い。そして、アメリカなどでは映画でよく見る地下鉄の排気口から出る白い煙、アジアでは屋台の湯気、カナダではどんよりとした空など、スモーキーな印象が強い。また、早朝の清掃風景も、それぞれお国柄が出ておもしろい。大きなトレーラーで一気にゴミを掻き集める欧米諸国、大きな袋を手にひたすら人海戦術のアジア諸国。しかし共通して言えるのは、みんな朝からよく働いていて、自分の怠け者加減を思い知る。更におもしろいのが通勤・通学の風景。テイクアウトのコーヒーやチョコバーを手に歩く欧米諸国、古びたバイクに4~5人乗っていたり、自転車を自分でバスの上にくくりつけて飛び乗ってくる人など、エキサイティングなアジア諸国。おもしろいのは断然アジアだが、みんな違ってそれがいい。

大学生の頃の4年間、朝市でバイトをしていた。朝5時起きの辛いバイトで、時給も安く、その後家庭教師のような割のいいバイトが見つかり、何度も辞めようと思ったが、意地っ張りで物事を途中で投げ出すのがイヤな私は、結局4年間続けてしまった。まだ星の出ている朝5時に家を出てバイクで現地に向かい、8時頃寮に帰る。山の上にある保養所のロビーで開く特設朝市がメインだったため、バイトを終えて外へ出ると、眼下に広がる広大な海と澄み切った青空は、辛くて安い賃金のバイトのボーナスであり、その日の活力の源だった。

あの頃に比べたら、朝7時起きの今のなんと贅沢なこと。それでもブツブツ言いながら起きるという、この体たらく。人間、怠けだしたら切が無い。
旅先や朝市のバイトの頃の、キリッとした朝の寒さが妙に懐かしい。
うちも早朝オープンにしようかな?.......... しない、しない。

Feb 3, 2009

2年目の心得

うるさいチビを夫に散歩に連れ出してもらい、税金の申告書の作成を始めようとしたものの、イマイチ気乗りがしないためチョット一息。申告が大変だぁ~、大変だぁ~、と言っても会計ソフトを使っているため、日々の入力さえ間違っていなければ手計算する必要もなく、それほど大変ではない。ただ最初の頃は簿記の知識が全く無かったため、何をやらなければならないのか皆目見当が付かず、「初めての個人事業」なるHow to本を読み漁った。その後青色申告会の助けもあって、現在ではPCのソフト上では既に決算の入力が終わり、後は税務署から送られた所定の用紙に転記するだけなので、落ち着いた夜の数時間で全て終了となる予定だ。

商売というものは簡単そうで難しい、とよく言うが、その難しさも色々あって、2年目を迎えた今は、自分が売りたいものとお客さんが欲しいものとのギャップに悩まされている。飾り程度に置いたものがやけに売れたり、お勧めのものがさっぱりだったりと、なかなかうまくいかない。それでも店を運営していくためには、売れるものを置く必要もある。その中で、なんとかうちの思いが込められるものを探す。売れるものとは、今皆が必要としているものであって、どんなにいいものでも必要でないものは、この不況下でお金を使う余裕は皆あまり無い。それでもただの実用品と違って、持つことで何だか気持ちが落ち着くような、あくまでも「うちらしい」物を提供できたらと、日々考えている。

開店翌日の昨年の今日は、鎌倉は大雪だった。
お祝いに友人が贈ってくれた飾り用の花が、店先で雪化粧に包まれていたのが懐かしい。今日の鎌倉は晴れ、悩み多き2年目の始まりを、太陽は激励してくれたようだ。
さて、まずはやるべきことをやりますかね!

Feb 1, 2009

まもなく1周年

先日うちのチビが2歳の誕生日を迎え、デコレーションケーキを買うお金が無いわけではないが、どうせ生クリームをグチャグチャにして終わるのが目に見えていたため、1歳の時と同じようにホットケーキを作ることにした。本当はプリンを一番上に乗せてフルーツで飾り、「プリンアラモード」みたいにする予定だったが、隠し持っていたプリンをまんまと見つけられ先に食べられてしまったため、少々貧相なバースデーケーキになってしまった。しかもロウソクはお仏壇用....。でも喜んでムシャムシャ食べていたので、まぁいいでしょう。

まだ保育園にも幼稚園にも行っておらず、公園デビューも夫任せのため家を行き来するような同世代の友達がおらず、可哀想な気もするが、夫の話だと公園で一番やんちゃなのはうちのチビらしく、いろんな子供やその親の横に行って話し掛けたり顔を触ったりと、随分馴れ馴れしいそうだ。人見知りをしないのはいいことだが、もう少し家で社会生活の基本を教えなくてはと、話を聞かされる度にハラハラする。しかし何であれ、元気なのはいい。みんなが健康なおかげで、開店以来一度も休まないでここまでやってこられた。

明日で「蒙根」開店1周年。覚えやすいように平成20年2月2日に開店にしたのだが、口の悪い友人が、もう1年待って平成21年2月1日にすれば良かったのに、と言っていた。いやいや、そういうことじゃないから..... 。

お店は開くことよりも、続けていくことの難しさを勉強した1年目。かつて大企業のマーケティング部で働いていた常連さんから、『いかに広報をするか?』という今年の課題が与えられた。お金を掛ければどうにかなるがそんな余裕は無いため、いかにお金を掛けず広く知ってもらうか、これが「蒙根」2年目の課題だ。

来年のチビの3歳の誕生日、ホットケーキの周りに高級フルーツが並ぶか否かは、この2年目の課題に懸かっている。
えっ?来年もホットケーキなの?(....... チビより)