そんな中、家で業者が来るのを待つ時間があり、せっかくだからと読みかけの本を出して読んでいた。「八日目の蝉」という本で、テレビドラマにも映画にもなった有名な作品だが、どちらも見ておらず、誘拐した子供を大切に育てた母親とその子の運命、ぐらいのストーリーしか知らず、たまたまブックオフで105円で売っているのを見つけて買い、チビの読書妨害の合間を縫って少しずつ読み進めていた。
業者が来る直前は、島で逃亡生活をしていた母子が、不安を抱えながらも幸せなひとときを過ごしているところで、もしかしたらもう少しこの幸せが続くのかな、と思いながら業者が帰った後更に読み進めていると、場面は急展開し、誘拐犯の母親は捕まり、子供と引き離される、という結末になってしまった。
元々誘拐犯だし、とか、本当の親の気持ちは、とか、そういった社会の常識はともかくとして、4歳まで大切に育て、育てられた親と子が、突然引き離されるというその状況を想像して胸が詰まり、涙が溢れた。親は辛いし、子供はさぞ不安だろうと、普段あまりフィクションを読まない私だが、同い年の子を持つ親のせいか、想像するに難くないこの状況を思い、涙腺がゆるんでしまった。
ここで1章が終わったため、店番をしている夫に本を読んで遊んでいたことがばれないよう、目元の化粧を直して家を出た。真偽のほどは定かではないが、この作品は作者である角田光代さんが「母性愛」について考え、そこから生まれた作品らしい。「母性愛」かぁ~と、「父性愛」に満ち満ちている夫の懸命な店の改装工事姿を眺めながら、ぼんやりと考えていた。
さて、続きはどうなるのか。
またどこかの業者、来ないかな~♪♪
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