May 28, 2009

非常と平常の間

先日、遥か中国の青海省に住む夫の妹さんから電話があった。外国慣れしていない夫の実家とは、こちらから電話をすることがあっても向こうからかかってくることはなく、だから何か大変な事が起きたんじゃないかと心配したが、中国のニュースで日本の新型インフルエンザが話題になっており、うちら家族を気遣って、海外に電話をかけたことがあるという友人の助けを借りながら電話をしてくれたそうだ。非常にありがたい。

ニュースというものは、とかく大袈裟に表現をする。だから1つの情報源として活用はするが、鵜呑みにしないよう心掛けている。とは言っても、一度読んで記憶に留めてしまうと、それにかかわる人や物や場所を、その情報を踏まえて見てしまうのは否定できない。これは非常に危険なことだ。

海外放浪が好きになったことの1つに、「百聞は一見にしかず」を痛感したからというものがある。初めての渡航で、それまでテレビや本で得た情報と現地で実際に見て感じたことがあまりに異なり、非常に衝撃を受けた。これは今後の私の生き方にも大きく影響し、人の噂やマスコミの情報を信用しなくなった。自分で見て、感じて、判断するまでは、ネガティブなイメージを持たないよう心掛けるようになった。しかし最近は、一昔前と違ってネットの情報も溢れ、「百聞」が「千聞」「万聞」以上になり、「一見」したような気分にさせてしまう。これは非常に恐い。

店の前を通り過ぎる人の姿にマスク姿が増えた以外は、これまでと何ら変わらない日々を送っている。「日本インフルエンザ」と代名詞が付き始めた国の「一見」はこんなものだ。最近店に閉じこもりがちなので、そろそろ「一見」しに旅立ちたいなぁ~。

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May 24, 2009

ダル花

雨のせいか、寝坊をした。
そのせいか、昼を過ぎてもダルイ。

そんな怠惰な雰囲気に「喝」を入れようと、店内の大掃除を始めた...... ら、お客さまがいらっしゃって、しばし歓談。退店後、再びダラダラモードにスイッチが切り替わってしまい、大掃除が中断されてしまった。

しょうがないからチビにマックの割引チケットを握らせて、『パパとGO!』と呪文のように教えながら追いやり、ついでに「アイスコーヒー」のテイクアウトを頼んだ。これが届けば、少しは目が覚めるだろう。

以前、ゲーム好きで家に引きこもりがちな友人が、『向日葵って、うっとうしい!』と言っていた。今なら何だか分かるような気がする。こんな雨でダルイ時は、溌剌と黄色く輝く向日葵よりも、雨に濡れながらも健気に咲いている紫陽花の方がいい。

この向日葵、昨日お隣のお店に南房総の千倉から届いたもの。房総半島を脱出しても、相変わらず縁が切れないなぁ、と苦笑い。そう言えば、以前住んでいたところの市の花(木?)が、紫陽花だったような気がする。

まっ、ムリして大掃除するのは止めにして、コーヒーが届くまで紫陽花モードでのんびりしてましょう~♪♪

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May 20, 2009

甜蜜蜜

すっかり夏の陽気ですねぇ~。
集荷に来た運送会社のお兄ちゃんが汗だくになっているのを見て、室内の仕事の有難さをしみじみと感じた。エアコンは今ドライ運転中だが、この分だと冷房運転に切り替えないといけないかな?

なんだか無性に映画が観たくなり、「TSUTAYA」でもいいからと思ったが時間とチビが許さず、悶々としながら最後のアガキで店のBGMを映画音楽にした。少し前の結構ベタな香港映画が好きで、香港や中国を訪れた際にDVDやCDを随分買い漁った。そのコレクションから適当にチョイスして、チベットとは無縁の音楽を聴き始めた。懐かしい映像が蘇り、映画鑑賞もどきに浸っている。

以前アイルランドを訪れた際、飛行機の都合で行き帰りに香港で一泊ずつした。中国返還前に2度訪れたことがあったが返還後は初めてで、どんな風に変わったかなと思いながら市内へ繰り出すと、相変わらず熱気ムンムンの派手な看板が立ち並ぶ香港らしい香港が見られ、少々安心したのを憶えている。

アイルランドから香港へ向かう便で、隣の席に座った一昔前の「オタク」の象徴のような、汚らしい(失礼!)長髪にメガネ姿の香港人の男性が、冷房が効き過ぎた機内で寒がっている私に、黙って自分の毛布を差し出したり、棚への荷物の上げ下ろしを手伝ったりと、見た目と違った(失礼!)その親切な姿に心打たれた。

香港への着陸が近づいてきた頃、この寡黙でオタク(?)で親切な香港人が、突然静かな息遣いと共に掌を右へ左へとクネクネやり始めた。お~、これは正にリー様(ジェット・リーのこと)が以前映画の中でやっていた「八卦掌(はっけしょう:掌を多用するカンフーの一種)」ではないか!しかもこの人香港人だしぃ~、間違いない!!.... と、「日本人は皆着物を着て刀を差して歩いている」みたいな発想で勝手にワクワクしながら片言の広東語で聞いてみると、『いや、単にストレッチしていただけ!』とそっけない返事。
なんだ....。

映画さながらの出会いを期待してか、でも現実はこんなもの。ちなみに、この時の香港と日本の往復の機内で観た「天下無賊」という映画がきっかけでチベット行きを決意し、夫と知り合うことになり、鎌倉で開業することになり..... と私の人生が流れていく。事実は「映画」よりも奇なり?
>>>to be continued

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May 15, 2009

憧憬

修学旅行シーズン真っ盛りのようで、市内のあちこちで地図を片手にウロウロしている小中学生の小グループをよく見かける。最近の修学旅行は、予め決めた場所へ引率を伴わず生徒達だけで探し当てる形態のものが多いようで、また、グループごとに時間を競い合ったりもしているようだ。鎌倉に住んで1年以上になるが、まともに道を教えられるのは家の近くの「銭洗弁財天」と「鶴岡八幡宮」ぐらい。なのに先日これらの小グループに「源氏山公園」を聞かれ、町で見かけた看板を思い出しながら適当に答えたらどうやら遠回りだったみたいで、途中で近道を教えてもらって引き返してきたこのグループにばったり再会し、非常に気まずい思いをした。間違っていた訳じゃないんだから、ねぇ....。

修学旅行に限らず鎌倉を訪れる人たちは、神社仏閣への道すがらに建ち並ぶおしゃれな高級住宅を見て、『わぁ~、すてきぃ~こんなところに住みた~い!』とよく口にしている。確かに静かで、情緒もあって、大きな犬を散歩させているマダムがウヨウヨしていたりして、皆が憧れる気持ちも分かる。この地にどっしり居を構え余生を送るのもいいが、根が遊牧民体質なのか、そういう生活にあまり魅力を感じない。もし今、『オーストラリアでいい仕事があるけど、来ない?』なんて言われたら、2秒後にはネットで格安チケットを探し始めているだろう。

元来、土地に愛着を持たない性格なのかもしれない。故郷の名古屋にはそれなりに愛着はあるが、思い出だけでも十分である。鎌倉も気に入っているが、絶対にここでなければ、と言うほどではない。チビのことを考えると、それなりにきちんとした自分の家を持って一箇所に落ち着いた方が.... と思うが、しかしそれほどこだわってはいない。一番の憧れは、遊牧生活の現代版とでも言おうか、キャンピングカーで世界各国をフラフラすること。今の時代、そんな夢の生活を成し遂げるには捨てなければならないものがたくさん出てきて大変だが、それが許される身分になったら、是非成し遂げてみたいと思う。

チビが20歳を過ぎたらやってもいいかな?
年金生活になったらやってもいいかな?
まずはどこへ行こうかな?
キャンピングカー貯金でも始めようかな~♪♪

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May 12, 2009

グリコなコラム

先日忙しく店で仕事をしていると、チビが床に置いてあった新聞を取り上げ『ベーバ!ベーバ!』と言いながら近寄って来る。『ベーバ!』とは以前勤めていた職場の先輩が、チビに贈ってくれた絵本に出てくるクマのこと。別にクマの名前がベーバな訳ではなく、チビが勝手にそう呼んでいるだけで、なんで「クマ」が「ベーバ」になったのかは分からない。思うに、2冊贈ってくれた絵本の一方に、カバやラクダなどいろんな動物がたくさん出てきたため、読んで聞かせているうちにそれらの名前がミックスされてしまったのだろう。今ではすっかりこの「クマ」は「ベーバ」に定着し、『ベーバどこ?』と尋ねればどこからともなくこの絵本を探し出してきて、得意げにページをめくってはクマを指差しながら『ベーバ!』と叫ぶ。

そんな中で新聞を持って『ベーバ!ベーバ!』と騒いでいたため、『それはベーバじゃないでしょう?』と言うと、わずか1cm四方の小さな写真を指差していた。なんとそれは、新聞の記事の名作絵本ランキングで、『ベーバ!』の絵本が第3位で紹介されていたのだ。よくそんな小さい記事を見つけたものだと、感心しながら少々褒め過ぎたため、得意になったチビがその後しばらく『ベーバ!ベーバ!』とうるさかったのは失敗だったが、しかし子供の記憶や目線は大したものだ。

最近一人の自由な時間がないため、大好きな映画や本からはすっかり遠ざかっている。そんな中での唯一の「読書」が、店で仕事の合間に読む新聞だ。中でも、朝日新聞に週1回の割合で掲載される沢木耕太郎の「銀の街から」は、見つければ必ず熟読するお気に入りだ。新作映画を臨場感たっぷりに紹介するコラムで、彼の手にかかればどんな映画も魅力ある作品となってしまい、映画館に出向かないまでも「TSUTAYA」リストにエントリーされる。ただ今は「TSUTAYA」時間もままならないため、リストアップされる作品が増える一方だが、このコラムを読めば映画を1つ観たような満足感を味わえる。今日紹介されていたのは、韓国映画の「チェイサー」だった。おもしろそうだ...... もちろん「TSUTAYA」リストにエントリーした。

絵本ランキングの第7位に、「スーホの白い馬」が入っていた。これはモンゴルの民話で馬頭琴に繋がる話だが、夫は全く知らず現地でも聞いた事がないと言う。絵本なら日本語も簡単だろうし、今度買ってあげようかな?....... いや、もったいないからやめておこう。

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May 8, 2009

電車でGO!!

今日は朝5:30に起き、店も午前中だけお休みし、六本木にある中国大使館まで夫のパスポートの更新手続きに出掛けた。夫はモンゴル族だが、中国の内モンゴル出身のため国籍は中国になる。しかし家族や学校ではモンゴル語を使ってきたため、中国語はネイティブレベルで話せても書くのは苦手だ。だから中国との電話のやりとりは夫任せだが、手紙や書類のほとんどは私の仕事となる。今日も大使館の窓口で、夫本人が横にいるにもかかわらず中国人の職員とやり取りし、書類に記入したのは全て私だった。私の国のパスポートじゃないんだから ..... 。

9時の大使館の開館に合わせて出掛けたため、朝の通勤ラッシュ真っ盛りの電車に遭遇し、しかも人身事故で湘南・新宿ラインが大幅に遅れるなど、電車はすし詰め状態だった。電車大好きのチビは、いつも手を振って見送るばかりの電車に乗れたため、どんなに混んで押し潰されても大はしゃぎで、隣の無表情なお兄さんの肩を触ろうとしたり、お姉さんのカバンをいじろうとしたり、つり革にぶら下がろうとしたり..... まぁこっちも泣かれるよりはましだったが、遅延している満員電車で皆が神経を尖らせている中、ノー天気にはしゃいで起こすこの手の「事件」を未然に防ぐため、神経をピリピリさせていた。

パスポートは希望すれば、着払いで郵送してくれると言う。もちろん、即断即決で郵送を選んだ。もう今日みたいな朝はごめんだ。早朝からチビを抱っこして神経をすり減らしていたので、筋肉痛と神経痛(?)になりそうだ。さすがに大変そうに見えたのか、店に戻ってチビが昼寝をし始めたら、夫が買い物に行って来ると言う。何やら私の好きなコーヒーを買ってきてくれるそうだが、本当はチビが寝静まったので、夫に店番を頼んで奥で仮眠でもしようかと思っていたんだけど ..... 相変わらず気が合わない。でもせっかくの好意だし、とりあえず黙って送り出した。

帰りの電車も大幅に遅延していて、でもそのおかげで鎌倉方面行きの電車を避ける人が増え、タイミングよく乗った1時間遅れの逗子行きはガラガラだった。相変わらず大はしゃぎのチビは、椅子の上に立ちながらガラス窓に顔をくっつけ、流れる景色と行き交う電車をキラキラした目で指差しながら眺めていた。

郵送にしたのは間違いだったかな?
今度電車に乗るのは、パパのビザの更新ね!

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May 3, 2009

切れない糸

毎朝店の開店準備があるため、チビや夫より先に家を出る。以前は自分も一緒に行きたいと泣いて私の後を追っかけて来たチビも、諦めたのか慣れたのか、今では笑顔で両手バイバイをして私を送り出す。今度は逆にこっちの方が後ろ髪を引かれてしまうが、それを断ち切って一人足早に店に向かう。二時間もすればまた店で再会する笑っちゃうような僅かな別れだが、家のドアを閉めた途端、いつも「ぷつん」と何か糸が途切れたような音を感じる。たぶん、終始騒がしいチビの声から解き放たれ、急に外の静寂の中で一人ぼっちになったせいだと思うが、何とも言えない妙な感覚が頭の中を駆け巡る。

昨日、6ヶ月目に入っていた友人のお腹の赤ちゃんが、残念なことにこの世に産まれ出ることなく亡くなってしまった。今朝その連絡を受け、その悲しみの大きさを想像するに難くなく、気の利いた言葉が見つからず「ゆっくり休んでね!」としか言いようがなかった。改めてチビがこの世に生まれ、五体満足であることの奇跡を噛み締めずにはいられない。

そんなことを考えながら店に到着したら、チビの食べかけのパンがビデオカセットの上に置いてあった。しかも真ん中だけ食べる「セレブ食い」。誰も教えていないのに、おいしいところは知っている。あんにゃろぉ~と思いつつ、なんだか妙に嬉しくなった。チビが元気であることに、素直に感謝したい。

あと1時間もすればチビと夫がやって来て、ここもまた賑やかになる。私の途切れた頭の中の糸も、再び繋がることだろう。人生の中できっと何度も何度も途切れ、その度に結び直し、丈夫で太い切れない糸になっていくんだろうなぁ。

友人の途切れた心の糸が、一日も早く繋がりますように。

May 1, 2009

覚醒

5月ですねぇ。爽やかな初夏の風が、店の入り口から裏口に向けて通り抜けていき、何とも言えない心地良さを感じる。

夕べはチビの寝つきが悪かったためかなりの寝不足で、気だるい朝を迎えながら店に到着した。ダラダラと開店準備をしていると、お隣の店の奥さんにサツマイモとりんごの煮付けを頂いた。時々頂くもので、サツマイモとりんごに砂糖とバターをチョッピリ入れて後はただただ煮込むだけのシンプルな料理(デザート?)なのだが、これが本当においしい!酸味と甘みのバランスが絶妙で、今ではすっかりチビと私の大好物となってしまった。

今日はチビが到着する前に、しかも大量に温かいままで頂いたので、我慢できずにむさぼってしまった。うまい~!半分くらい食べてふと我に返り、写真を撮って入れ物に蓋をした。危ない危ない、全部食べてしまうところだった。

朝から好物をお腹に入れ、ようやく目も覚めてきた。5月はいいニュースがたくさん聞けますように~♪

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