ちょっと事件があった。
夫がいつも持ち歩いている、天珠アクセサリーを作る際の紐や接続の金具など、各種パーツが入ったビニル袋から強烈な異臭がしていた。私の人生の経験から海産物が腐った臭いに近いのだが、海産物に縁のない袋だけに、きっとチビが食べ残しの何かを入れたんだろうと100%疑っていた。
新聞紙を広げ中身を一つ一つ取り出していくうちに、小さな小分けのビニル袋を発見した。
『どうもこれが(色んな意味で)臭い!』
中を開けてみると、長さ1cmほどの小さな小さな『貝』が、三つ入っていた。
しかも『貝殻』ではなく中身の入った『貝』である。
わざわざ小分けのビニル袋に入っているところを見ると、チビの仕業ではないことは明白。つまり、夫しかいない。
『この貝、何?』
と少々怒りモードで聞くと、
『今度ネックレスかブレスレットに付けようかと......。』
夫は、日本に来るまで海を見たことが無かった。
海産物も、大人になるまで食べたことが無かった。
だから海で見つけた蓋を閉じたままのこの貝が、生きているとはさらさら思わず、よく売っている貝のアクセサリーと同じで、自分もそれを真似て作ってみようと考えたのだ。
気の毒な3個の赤ちゃん『貝』は、無知の夫に連れ去られ、既に死後1週間は経っていただろう。
でも、さすがに怒る気にはなれず、
『蓋の閉まっている貝はまだ生きているから、今度取るなら蓋の開いたのにしてね!』 と優しく(?)教えた。
もし、この異臭がする前に既に夫がアクセサリーを作って、私が気づかず販売してしまったら?
『このネックレス、日に日に臭いが増します!』 ......... な~んてね!?