Aug 15, 2010

娘、帰る


お盆も最終日を迎え、鎌倉も人出がだんだん少なくなってきた。静かになった裏通りで、一番うるさいチビと夫が出掛けたため、草原音楽を聴きながら少しボンヤリしていたら、ここが鎌倉か大陸のど真ん中かわからなくなってきた。まぁ、確実に鎌倉ではあるのだが、気持ちの上では常に砂漠のオアシスでハミウリをむさぼる少年のように、自由気ままでいたいと思う。

知り合いの店に顔を出しに行ったら、『田舎に帰らないの?』と言われた。田舎、つまり故郷名古屋だ。母は亡くなったが、父は再婚したものの健在だ。普段音信不通とはいえ、チビを連れて帰れば歓待してくれるのは間違いない。しかし、店を閉めて、高い交通費を払ってまで帰る気にはなれない。そんなことをしていたから母の死に目にも会えなかったわけで、親不孝極まり無い娘なのだが、性分だから仕方が無い。

小さい頃から独立心が強く、高校を卒業してから大学で親元を離れて以来、ず~っとこんな調子だ。自分で誰にも相談せずに物事を決めて行く性質で、安定したお役所仕事をパッタリと辞めて開業を決め、外国人の夫に店の保証人はできないと不動産屋に言われたため、やむなく父に保証人になってくれるよう連絡し、そこで初めて結婚と退職と開業の報告をした。当然父は呆れていたが、それでもこれまで親に迷惑もおねだりもしてこなかったため、信頼は厚く、すぐに判を押してくれた。この辺はやっぱり親なんだなぁ、とありがたく思った。

ここまで大きくなったのは、自分一人の力ではない。今、子育てと仕事に追われている自分を見れば、いかに大変だったかはわかる。そんな愛すべきわが子が将来音信不通になってしまったら、きっと寂しく思うんだろうなぁ、とも推察できる。まぁ私の場合、ここぞとばかりに大陸へ繰り出して、こっちから音信不通になってしまうかもしれないが....... 。

後で後悔しないよう、いつか顔を出さなければと、孫を溺愛しながらお墓参りに行くおじいちゃんを眺めていて、チョット思った。

posted by  天珠/曼荼羅/仏画の通販・販売 チベット専門店【蒙根】