Jun 30, 2012

本能「時」の戦い


梅雨の晴れ間の焼けつくような日差しの土曜日、ギラギラと照り付ける太陽を見ていたら、ちょっと前の金環日食を思い出した。にわか天文ファンが町に溢れだしたあの時、千葉に住む友人は子供のために日食グラスを用意して、朝食を庭で食べさせるなどあの手この手を尽くしたものの、厚い雲に覆われてほんの一かけらも見ることができず、平安時代以来の奇跡の天体ショーはあっけなく終わったそうだ。

私の場合、もちろんニュースでこのことは知っていたが、わざわざ見に行くほどのマニアではもちろんなく、簡易グラスを買うほどのにわかファンにもならず、それでも偶然見られたらいいなぁ~と、「天」を「運」に任せるぐらいのスタンスでいつもの通勤電車に乗り込み、こっちの方角かな?と振り向いた車窓から見上げた雲の切れ間に、サーカスのライオンがくぐる火のついた輪のようにメラメラ燃えている、炎の環のような金環日食を見ることができた。教科書や科学の雑誌に掲載してもいいぐらい「超」ど真ん中の金環で、だから肉眼でも全く眩しくなく、そこが車内でなければ確実に雄叫びをあげていただろう、動物の本能を刺激するような迫力のある映像だった。

一分にも満たなかったと思われるこの時は、今でも鮮明に記憶に残っていて、絵に描けそうなくらいだ......描かないけど。日食の時に動物の異常行動が見られると言うが、私の中にも野生動物的な本能がまだ残っていたことが、なんだか妙に嬉しく感じた。

そんな中、保育園で遊び疲れたものの大好きな鶏の唐揚げが食べたくて、眠気と闘いながら食べ続けているチビがいた。身体は前後左右に揺れていて目も半開きの状態だが、フォークに唐揚げを突き刺してはなんとか口に運んでいる。「食欲」と「睡眠欲」、つまり本能の戦いだ。時は平安時代から戦国時代に移ったのか.......?

自然や動物的本能への羨望の眼差しは、それらから遠ざかって生きている現代人の憧憬なのかもしれない。唐揚げを頬張って寝てしまうのは問題だが、時々はそんな本能を実感するのも悪くはない。

ウォオオオオオオオオオーーッ!!

posted by 天珠/曼荼羅/仏画(タンカ)の通販・販売 チベット専門店 【蒙根】