Mar 26, 2010

千想針

4月からのチビの保育園入園に向け、今その準備に追われている。取り分け、各種袋物の作成が私を追い込んでいる。うがい用コップ入れ二つ、お弁当セット入れ二つ、着替え入れ一つと、ミシンがあれば1時間で完成しそうな数なのだが、ミシンを持っていないため全て手縫い。店の仕事の合間や、チビが早く寝た時に一人ムシムシ作っているのだが、なかなか時間が取れないため、一つ完成させるのに四日がかりだ。市販のものでも十分なのだが、そこはこだわりと言うか単に私の楽しみで、本人が気に入るか気に入らないかは別として、入園後に自分が作った袋を持って登園する姿を見て喜びに浸れるのは、作った者の特権だ。モノを作ることは大好きなので、作業自体は問題ないのだが、元来手先が不器用と言うか雑な性質で、縫い目や布の切り目がガタガタな様子を、手先が器用で繊細な夫が見るに見かねて取り上げようとするので、断固背中で拒否をした。楽しみを取られてたまりますか!

遥か昔の、自分の幼稚園時代を思い出した。大きな教会を伴った、由緒正しいキリスト教の幼稚園だった。地域でもわりとお坊ちゃん、お嬢ちゃんが通っていて、いつも男の子と間違えられるほどやんちゃだった私には、不釣合いだったにもかかわらず、一つ上の姉が通っていたため行きたいとダダをこね、既に募集締め切りをしていたところを特別試験を受け、晴れて通うようになった。ブレザーにベレー帽と、かわいい制服が本当に似合わなかった。男の子と喧嘩をして、よくシスターに怒られた。お金のためか、私の監視のためか、ほどなくして母が幼稚園の事務のパートをするようになった。事あるごとに、幼稚園の近くにあった少々問題のある子供を預かる施設へ入れるよと、よく脅された。自分で選んだ幼稚園だったが、朝からロザリオを持ってお祈りを捧げる規律だらけの毎日が、息苦しくてしょうがなかった。

なぜだか母は、姉の友達の母親とは全く疎遠だったにもかかわらず、私の友達の母親と親しくなる傾向があった。私が幼稚園の授業参観で、大勢の母親達が見ている目の前で「キス」をした男の子の母親と、母が癌で死ぬ直前まで親しい付き合いがあった。もちろんきっかけは私の大胆な行動だったが、親友を作ってあげたと考えれば、なんて親孝行な娘だったんだろう。母の葬儀の時に何十年ぶりかで会い、あの頃の遠い記憶が蘇り、なんとも言えない気持ちになった。

一針一針想いを込めたこの袋は、やんちゃDNAがサラブレットのチビの幼稚園ライフを、一番身近で見守ることになるだろう。
今から申し訳ない顔の『すみませ~ん。』を練習しておかなければね。

チビよ、元気に羽ばたけ!!

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Mar 20, 2010

共立

「うららかな春の一日」という言葉がぴったりな三連休の初日、店の前を賑やかに観光客が行き交うが、天気と売り上げが反比例するうちの店は、残念ながら外の賑わいほど忙しくない。しかしそれでも、天気が良いとやっぱり気持ちが良く、なぜだか妙に嬉しくなってくる。

チベットの正月と中国の旧正月のダブルパンチで、毎年2月から3月にかけて、1ヶ月近く仕入れが停滞する。近頃ようやく市場が動き始め、仕入れ元のうちの仲間達も、徐々にやる気を出し始めた。いつもの商魂逞しい振る舞いを思うと、この正月の「ロンバケ」は恐ろしいほど潔い。帰省して家族と過ごす日々が、彼らにとっていかに大切なものであるかを、物語っているようにも思える。

モンゴル族の夫の、故郷の家族との結びつきは想像以上で、度々『I miss my father!』と口にしている。別に私がパスポートを取り上げて、夫の帰郷を制限している訳ではないが、今の生活状況では、優雅に「ロンバケ」を取って帰る余裕は無く、もうしばらく電話やメールで我慢してもらわなければならない。親離れが早く、故郷にさほど思い入れが無い私は、薄情なようだが『I miss ......』状態になったことはない。それよりもここでの生活を、いかに楽しく、有意義にするかの方が今は重要だ。

鎌倉に来てから2年以上が経ち、友人知人も増え、道を歩いていて『こんにちは!』と、声を掛けたり掛けられたりすることが多くなった。これって何でもないことのようで、すごく大きなことだったりする。また、チビのフレンドリー(馴れ馴れしい?)な性格のおかげで、近くのスーパーの従業員に知り合いができ、更に4月から晴れて保育園に入園することになったため、この先もチビを通して、ママ友達ができていくのだろう。知り合いが全くいなかったこの町で、一つ、また一つと、友達の輪が広がっていく。

そんなことを考えていたら、5年ほど前に日本語を教えていた、本国に帰った中国人からメールが届いた。授業が終わってからずっとご無沙汰で、久々に元気な彼の姿を見て嬉しく思うとともに、ここにもまた一つ輪が広がって、どこかの長寿番組の台詞状態だなと、一人で突っ込んで笑ってしまった。

この調子で行けば「ロンバケ」が取れる頃には、友達巡りで世界一周ができるな。
後は先立つものだけか..........。

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Mar 10, 2010

装着せよ。強き自分

テレビのCMで度々『ホーームズッ!!』と言う雄叫びと共に流される、映画「シャーロック・ホームズ」の宣伝。私の好きな俳優の一人であるロバート・ダウニーJr.が主役のため、分かっていてもついつい振り返って見てしまう。あ~、映画見たいな~。しかしうるさいチビと夫がいるため、どうにもままならない。TSUTAYAしたとして、それを見る時間もないし....。最近見た映画と言えば、店の奥でチビと一緒に見た『ジャングル大帝』くらいだ。まぁ、これも懐かしくて、結構おもしろかったけどね。

私の映画好きは、たぶん父親譲りだろう。母は映画や音楽など、無形文化にお金を費やすことにあまり興味を示さず、家や家具、宝石など、後に残せるものに投資したがった。ロマンチックな男性と、現実的な女性との違いかもしれないが、その点では男性的思考の私は、父と気が合い、よく一緒に出掛けたものだった。今のうちの店の「チベットジュエリー」という商品を、神秘的に受け止めて購入して下さる男性のお客様と、アクセサリーの一つとして捉える女性のお客様との違いにも、この辺りの性差が感じられる。

機内で見た映画のせいで、チベット行きを決め、挙句の果てにチベットの店を開いた私は、ロマンチックな思考の中で、現実的な女性の行動が伴ったようだ。しかし店を開いたことは、私のロマンチックな放浪の旅を「一時中断」させることに繋がり、それは残念な結果ではあったが、その分来て下さるお客様との出会いで、別の形の旅気分を味わっている。現実の放浪の旅の再開まではまだまだ時間がかかりそうなので、せめてTSUTAYAでロバート・ダウニーJr.の『アイアンマン』でも借りて、チビと一緒に見てみようかな。

アイアンチョーーップ!!.... とかあるのかな?

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Mar 3, 2010

百ネットは一見に如かず

昨日、以前勤めていた職場の先輩から、チビ宛に本が届いた。いつもチビの成長に合わせ、素敵な本を見つけては送って下さる。今回は「21世紀幼稚園百科」。4月からの保育園通いに合わせて下さったようで、学校の行事から世の中の生き物、乗り物、食べ物など、子供が興味を抱きそうなことについて解説がしてある、子供版「百科事典」だ。「自分がもう一度子供を育て直すことができたらこんな本を見せたらいいかな、というより自分が子供からやり直せたら読みたかったかな」という思いで選んで下さったそうで、子供のみならず大人の私が見ていてもおもしろい。いつもいつも、本当にありがとうございます。

百科事典といえば、子供の頃名古屋の実家に「世界大百科事典」なるものがあった。小さい身体で1冊3kgはありそうな重たい本を両手で抱え、ワクワクしながらページを開いたことを思い出す。初めは写真付きのところばかり見ていたが、成長と共に文章も理解できるようになり、1ページ毎に繰り広げられる未知の世界に胸を躍らせていた。今ではすっかり情報も古くなって、重いばかりの無用の長物となっているだろうが、もしまだ捨てられていないのならば、是非鎌倉に持って来たい。...... まぁ、夫は嫌がるだろうけど。

インターネットは現代の「世界大大大百科事典」だ。知りたい言葉を入力するだけで、世界中から詳細で最新の情報が瞬時にして手に入る。アナログ派の私でさえ、ネットを始めたばかりの頃は、その便利さと情報の豊富さに時が経つのを忘れて没頭した。今でも分からないことや知りたいことがあると、とりあえずネットで調べる。しかしそれは、ただ最新の、大体の情報を入手したいだけで、興味が沸いてもっと知りたくなると、次は本を買う。それでも飽き足らなければ、可能な限りそこへ飛んで行く。今では店と子供を抱え、以前よりもフットワークは鈍くなったが、やはり「一見」に勝るものは無い。

チビはまだ、大好きな電車のページで騒いでいるだけなので、とりあえず鎌倉駅で事足りるだろう。
恐竜に興味を持ち始めたらどうしようか?
行っちゃう?...... ってどこへ??

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