夏休みもそろそろ終わりを迎え、店で邪魔者扱いされて退屈をしていた子供は、友達と会える9月2日の始業式を毎日指折り数え、親の気も知らず登校を心待ちにしている。そんな子供にとって、この夏の唯一であって最高のイベントは、『
獣電戦隊キョウリュウジャー』のショーを後楽園遊園地へ観に行ったことだ。私の休みが取れそうな日が確定したところで、ネットで急いでショーの情報を検索し、偶然一席空いていた一番前のど真ん中の席にまず予約を入れ、これまた偶然一席空いていた、ちょうど子供の斜め後ろの場所に私の席を確保し、約1ヶ月の果てしない日々を待ち続けてその日を迎えた。文字通り「がぶりつき」の席で少々戸惑いながらキョウリュウジャーにがぶりつき、キョウリュウレッドに握手までしてもらい、夢見心地の30分だったようだ。
戦隊モノと言えば、その初代であり歴代最高(私見です)の『秘密戦隊ゴレンジャー』を語らないわけにはいかない。それまでヒーローは一人が基本だったため、5人グループのヒーローが現れた時は衝撃的で、毎週食い入るようにテレビを観ていた。大好きだった『仮面ライダーV3』のアオレンジャーを筆頭に、憧れのモモレンジャー、渋くて頼れるアカレンジャー、お調子者のキレンジャー、頼りないミドレンジャーと、それぞれの個性が生かされ、毎度毎度見どころ満載の30分だった。
うん十年ぶりに『ゴレンジャー』に会いたくなった私は、ショーを観てからますます『キョウリュウジャー』の虜になった子供を利用し、レンタルショップで『ゴレンジャー』のDVDを借りて一緒に観た。空を飛ぶシーンが明らかに人形だったり、壊される家は発泡スチロールだったりと、今どきのCGのクオリティーとは比べ物にならないほど低レベルだが、それでもヒーロー達は相変わらずカッコ良くて、色褪せない輝きがあった。そして、所々映し出される街の風景や女性の姿に、同じようなファッションでおしゃれをした母と一緒に買い物をする幼い頃の自分を思い出し、少し胸がきゅんとした。
今ほどハイテクではなかったが、良い時代だったと思う。夏休みは朝から晩まで汗を流して外で遊び、夕暮れにはお豆腐屋のラッパの音と共に、赤く染まった夕焼け空が果てしなく広がっていて、籐で編んだ買い物籠を持つ母と近くのスーパーへ買い物に行き、そこでお総菜屋の味見にありつけるのが最高のラッキーだった。
今はそんな思い出のスーパーはたぶんもう無くて、母もすでに他界し、キレンジャーは番組終了後間もなく、キレンジャーのイメージを払拭できず、役者人生に限界を感じて(?)自ら命を絶った。それでも、あの頃彼らから貰った勇気や希望は、私の心に深く刻み込まれている。3年程前の何かのインタビューで、アオレンジャーこと宮内洋さんが「ヒーロー番組は子供たちの教育番組だ!」と話されていた。その番組に教育された元子供は、モモレンジャーのようにカッコ良くはないけれど、結構強い女になれた。半分だけど、まぁ、十分である。
あの頃に戻ることはできないが、あの時代を生きられたことを幸せに思う。
そして自分の子供が今、この時代を生きることに喜びを得られるよう努力することが、親の、大人の役目なのかもしれない。
キレンジャー、あなたはどうしたかったのかな........?
バンバラバンバンバン~♪♪
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